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Hi-Con2018に参加してきました
2024/03/25

Hi-Con2018に参加してきました

こんにちは、吉野です。

今回は、EthereumのTechカンファレンス、Hi-Conに参加したレポートを書きます。

Hi-Conとは

https://conference.hi-ether.org/

Hi-ConのHPより抜粋

Hi-Con は、コミュニティドリブンの大規模イーサリアム技術者会議です。国内最大のイーサリアム技術者コミュニティである Hi-Ether がオーガナイズし、国内外の様々な技術者・企業を招いてイーサリアム/ブロックチェーンの技術の側面に特化した「エンジニアが主役」のテックカンファレンスを開催します。

Hi-EtherというEthereumの技術者コミュニティが母体となっています。
Hi-Etherについては、以下のQiitaの記事をご覧ください。

https://qiita.com/amachino/items/605ff76209d7193dc92c

自分自身、福岡のHi-Etherには参加したことがありましたが、東京のHi-Etherコミュニティには初参加だったため、
技術的な部分だけではなく、コミュニティの雰囲気も味わうために参加してきました。

今回参加者としてだけではなく、スタッフとしても関わっていたため、聞くことができたセッション数は限られますが、その中でも自分が注目したものだけピックアップしていきます。

気になるセッションに関しては、近日公式から動画がアップされると思いますので、そちらをご覧ください。

Mythril & Security development lifecycle (SDLC)

https://hicon2018.sched.com/event/ILzc/en-mythril-security-development-lifecycle-sdlc

ConsenSys DiligenceのFounderである、Tom Lindeman氏によるセッションでした。

彼らのプロダクトであるMythrilに関する話でした。

Ethereumを用いたスマートコントラクトの実装においては、直接Ethereumを扱うため、堅牢なセキュリティが必要となります。
Mythrilはそんなスマートコントラクトのセキュリティの解析を行うことができる、オープンソースのツールです。

今回は、Mythrilのライフサイクルや、今後のロードマップの話がありました。

こちらがMythrilのGithubです。

既にα版が使用できるため、自分でも使ってみたいと感じました。

zk-SNARKsの理論と応用 / Theory and practice of zk-SNARKs

LayerXのリードエンジニアであるOsuke Sudoさんによるセッションでした。

zk-SNARKsとは、ブロックチェーン上で送金者が自分の情報を明かさずとも、受金者がこの取引が正当であるという事実のみ知ることができる(ゼロ知識証明)を実現するための技術です。

前半は非常にわかりやすい説明、スライドでゼロ知識証明について解説していただきました。
後半は、正直自分はまだまだ理解が追いつかなかったです。スライドを見返して、勉強したいと思います。

mercariX Decentralized Marketplace

merpayのKeita Nakamuraさんによるセッションでした。

メルカリ社内で実験的に運用されている、非中央集権なマーケットプレイスである「mercari X」のお話でした。

既存のmercariとmercariXの違いを図を使ってわかりやすく、説明していただきました。

個人的に印象的だったのが、既存のmercariではmercariという媒体を通して、2者が物品を売買していたのに対し、

ブロックチェーンによってDecentralizedされたmercariXにおいては、mercariXという媒体の他に、Escrowを行う第三者が存在する、という点でした。

このEscrowを行う第三者は、Bitcoinに置き換えると「マイナー」という立ち位置になると思うのですが、そこにおいて、Escrowをする側のインセンティブの設計が困難なように思えました。

しかし、この社内の実験によって、Decentralizedなマーケットプレイスがどのような振る舞いをみせ、どのように発展していくのか観察できることは、非常に有意義な実験であると感じました。

ブロックチェーンとフルサーバレスでのシステム構築

ALISのリードエンジニアであるKeiju Togashiによるセッションでした。

Hi-Con 2018 ブロックチェーンとフルサーバレスでのシステム構築 from ALIS

ALISはブロックチェーンを用いたメディアで、多くのいいねをもらった記事を書いた人と、いいねを与えた人に対して、ALISトークンがもらえる、というものです。

ALISはフルサーバーレスで構築されており、今回はその裏側の設計を見ながら、フルサーバーレスで構築する上での障壁やブロックチェーンとサーバーレスを組み合わせてみて感じた所感などをお話しいただきました。

ALISの構成は、以前Togashiさんが書かれたこの記事で見ていたのですが、ALISの規模のプロダクトをフルサーバーレスで実装することは技術難易度が上がることが改めてわかりました。

ALISはソースを公開しているため、フルサーバーレスに挑戦したいという方は、是非参考にされるとよいかと思います。

いかにして現実のアセットとブロックチェーン上のトークンを信頼できる形で紐付けるかという問題に対する2018年の現実解

LT枠の一人、Shun Takagiwaさんの発表でした。

現実のアセットとブロックチェーン上のトークンを紐づける際に生じるオラクル問題の2018年時点での現実解を提示したお話でした。

話の内容的にはおそらくブロックチェーン開発者の多くが気になる内容であっただけに、5分間は短く感じました。

結論としては、第三者として信託会社を設置し、信託会社がトークンを管理する、というものでした。

実際にTrueUSDというステーブルコインはそれを実現しているようです。

この発表で最も印象に残ったのは、Trustlessなプロトコル上にTrustfullなプラットフォームをのせることで、現実的な運用が可能になる、という部分でした。

この現実的な方法がこれから様々な分野で利用され始めるのではないか、と思います。

以上、吉野による、Hi-Conのレポートでした。

今回参加してみて、ブロックチェーンの技術は確実に社会実装のフェーズに着々と近づいてきていると感じました。

これからもブロックチェーン技術を追っていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

yoshino

yoshino

Fusicエンジニア。Webアプリケーションやブロックチェーンプログラミングをしています。PHP, Vue.js, Solidity etc..