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はじめに
プロダクト開発・成長・成功のために進めていくと、いろんな壁にぶつかりますよね? ステークホルダの意見的な壁もあれば、業界特性や慣習による壁、世の中の変化や競合登場による壁なんかもあると思います。
特定ドメインで圧倒的な強さを維持し続けているプロダクトの場合はわかりませんが、多くのプロダクトでこのような壁にぶつかったときに、乗り越えたり回避したりと施策やチャレンジが必要になります。
そんなときに、**プロダクトビジョンやミッションを本気で信じられていますか?**というお話をします。現在進行形でなかなか難しくてちょいと困ったな…なんて話でもあります。こうしたらいいよ!という答えは書いてないですので、あしからず。
sigfy(シグフィー)について
導入・運用がとにかく楽な連絡サービス
連絡をメールやLINE、スマホアプリといった複数の方法で受け取ることができる連絡サービスです。 学校法人・保育園など、数万人ものユーザーに連絡を届けています。
というサービスです。 それなりにレッドオーシャンな領域のサービスではありますが、 機能をシンプルに使いやすく・連絡を確実に素早く届け・ユーザー様の運用を徹底的に楽にするといった特徴を評価いただき、口コミ等で全国の学校様を中心に広がっております。 NPS(ネットプロモータースコア)も、プラス評価をいただけており誇らしいです。
sigfyのミッション
1年前に 新米PM(プロダクトマネージャー)がサービス成長期に向けて奮闘した話 という記事の中でsigfyというサービスの過去の経緯を書きました。
ざっくりお伝えすると
- 最初はあまり業界を絞らずに「連絡ツール」をつくった
- 運用しながら、学校領域の課題を知り改善を繰り返し評価されるようになった
- リリース後数年たって、ミッションを作成した
という感じです。
現在は、**学校・保護者・その他利用者の、もっと大事なことをするための「時間を作る」**というミッションを大事にしながらプロダクトを開発・運用しています。
「世の中の変化」という壁
sigfyはメッセージ送信・欠席遅刻連絡・アンケートといった、学校と保護者のやり取りをさっと行えるツールです。これらの機能を構築した当初、それなりにユニークな価値を提供できておりました。
ところが、コロナ禍において世の中の流れが大きく変わります。2020年10月 文部科学省から学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化の推進がだされます。 「お便り・欠席遅刻連絡・保護者アンケートをオンライン化しましょう」という感じの内容です。
当時、「sigfyど真ん中!こりゃ、よかばい!!」と喜んだのも束の間、それまで連絡とは無関係だった学校関係プロダクトがこぞってこれらの機能を実装しはじめました。
つまり、世の中の流れにより、ある程度sigfyの独自性となっていた機能群をもつプロダクトが増え、これまで以上にレッドオーシャンな状況となっていきました。その中には、無料のツールもあったりします。これは困った…。
壁とミッションと難しさ
さて、そんな壁に直面すると、プロダクトの価値を高めようとしたり、今後の方向性を考えたりする必要がでてきます。 「ミッション実現のためにインパクトあるチャレンジングなことをやりたい」なんてことを思うわけですが…、これがなかなかに難しいのです。
**学校・保護者・その他利用者の、もっと大事なことをするための「時間を作る」**というミッションに対し、インパクトがあることは何か?と考え、学校関係者にインタビューを繰り替えしたりしながらニーズを拾い上げたり、仮説をぶつけて検証したりしていきます。
ところが、「連絡ツール」というソリューションありきでスタートしているプロダクトだけに、チームメンバーもインタビューに協力いただいたユーザー様にも、「連絡ツールの延長線上の話でなければ」という心理的なしばり・バイアスがでてきてしまいます。「時間を作る」というインパクトに貢献するものは、連絡以外でも数多考えられるはずです。しかしながら、連絡ツール外のものになった場合、それはsigfyではなくなるんじゃないか?このチームがやることではないのではないか?と各メンバーに疑問がでてきます。
「連絡ツール」が先にあり、それに「後付けしたミッション」という位置づけでは、残念ながらプロダクト関係者全員が本気でミッション達成のために突き進む思考にしていくのはとてもむずかしいと感じています…。つまりは、現時点ではミッションは、本気で信じられるものになりきれていないのかもしれません。ここはPMとしての腕の見せどころなのかもしれませんね…。どうしたものか…、むずかしいですね…。
ソリューションありきでの対応に罠…
ソリューションありきの場合、上記のように特定業界内での壁(例:教育業界における競合の激化など)がでてきた場合には、そのソリューションをどこに売ればチャンスがあるか?という視点に行き着いたりします。その結果、顧客の深堀り・課題の深堀りではなく、売り先や売り方の検討に力を入れる思考になっちゃったりします。これは概ね悪手です。どうしても浅い理解のプロダクトとなり、やはり世の中の色々なものとの差別化が難しいものになってしまいます。最近話題のPLG(Product-Led Growth)とは逆方向の考え方ですよね…。
もちろん、ピボット先を深く理解していくことでの新たなチャンス創出の可能性はありますが、今回のようなケースでは、すでに飽和しているツールの後手スタートという可能性が高いことを理解しておく必要があるでしょう。ピボット先に対する営業めっちゃ強いぞーって場合にはいいかもしれませんが、途中ピボットでめっちゃ強い先があるってあまりないですよね…(最初からそちらを選択してない視点からも…)。なんにせよ、こりゃー、前途多難なわけです…。うまくいきづらい感つたわるでしょうか?
魅力的なビジョンとかミッション
小城さんの記事 肉厚な「仮説のミルフィーユ」をつくる などでもステキにまとめられておりますが、Coreとして実現したい世界観・ビジョンミッションがあり、そこからWhy→Whatに落とし込んでいく。もちろん、逆方向にもFit&Refineなど調整はするものの、長期的に目指していきたい魅力的な世界観があることでプロダクト(広くは事業)として目指していく強い指針ができあがります。
課題感を元に論理だけで行き着いたソリューションでは差別化がされにくい時代です。ユーザーに評価いただき、十分に魅力的なツールにはなっているsigfyでも、基本は論理でつくられたものであり、差別化という観点では苦戦してしまっているというのが正直なところです。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 やストーリーとしての競争戦略といった本の中でも語られているのですが、論理で行き着くものは他の会社と同じような内容になってしまい、これからのビジネスにはある種アートに近いような視点、自分たちの中からでてくるこだわりとかそういったものも必要なのだと感じます。
さらには、課題探求のための情熱的なものも必要です。高い熱量の情熱のためには、問題に恋して、深く深く問題を知りそこからはじめて、Whatに行き着かないとなと毎度毎度感じ反省しております。この辺の話は、9割の社会問題はビジネスで解決できるがおすすめです。
おわりに
まとまりのない文章になってしまいました…。プロダクトをやっていく上で壁はあるので、そのときの指針となるような世界観をつくり、信じていきたいというお話でした。
新規でまとめた記事でしたが、なんだかんだpmconf2021での発表と似た主張になってしまいました。自分の中での無意識ながらもホットな話題がこの辺なのでしょうね…。発見…。
くどいですが「課題→ソリューション」を素早く短絡的に決めるのではなく、課題や違和感の発見からインサイトをとらえて…などの深堀りや、そもそも作っていきたい魅力的世界観・ストーリーを考えていきたいと感じております。
sigfyチームや有志メンバーを巻き込んだりしながら、長期的目線で顧客に詳しくなれるような施策に取り組んでいったりもしています。お楽しみに。
本当に開発力・技術力が高いと感じるFusicです。目の前の課題には素敵なソリューションを提案できます。 今後プロダクトにおけるその前段階に強くなるとさらにさらに超超超超強くなると信じております。そしていつでも面白いメンバー募集中です。
お読みいただきありがとうございました。
明日は @keijiito さんです。楽しみ!!