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イベント概要
日時 | 2019/08/19(月) 19:00~ |
開催場所 | GBEC Park |
登壇者 | 慶應義塾大学斉藤 賢爾氏,chaintope 中城 元臣氏 |
タイムテーブルは以下の通りでした。
時間 | 発表者 | 内容 |
---|---|---|
19:05~19:40 | 斉藤 賢爾氏 | The Libra Blockchain : 技術と問題 |
19:40~19:50 | 斉藤 賢爾氏 | Q&A |
19:50~20:25 | 中城 元臣氏 | Move言語について |
20:25~20:35 | 中城 元臣氏 | Q&A |
20:35~20:45 | 望月 紀生氏 | LT |
21:00~22:00 | 懇親会 |
The Libra Blockchain : 技術と問題
まず最初に慶應義塾大学の斎藤先生より、Libra Blockchainの技術の概要と、そこに含まれる問題点の発表がありました。
資料はコチラ
発表を通して、学んだ点は、
-
Libraは既存の広く採用されているブロックチェーンの構造を採用している(Ethereumの影響を大きく受けている)
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現状のLibraのペーパーを読む限りでは、リソースの存在証明をするというブロックチェーンの果たすべき機能を果たすことができていない。
といった点でした。
また、その他にも
- なぜGasを用いたスマートコントラクトの実行モデルを採用したのか
に関しても、Libraに関する議論として提示されていました。
この点に関しては、『従量制であること』が一つの問題点として挙げられ、
現状の誰も利用していない状態でのGasモデルでは、スケーリングに繋がらないのではないか、
という議論が起きました。
どのようにすれば、万人がナチュラルにそのプラットフォームを利用するのか、を考える必要があり、その点において現状のLibraでGasモデルを採用するのは、 あまり良い考えとは思えない、という観点でのお話でした。
個人的な感想としては、 Libraブロックチェーン自体は、まだ開発途中である中で、Libraブロックチェーンの存在証明の正当性は、これから何かしらの形で進めていくのではないか。外部の開発者への早期リリースを優先したのではないか、と感じました。
Move言語について
次にchaintopeの中城さんによる、Move言語の解説がありました。
資料はコチラ
What is Move language - Speaker Deck
Move言語はLibraブロックチェーン上のデジタル資産を定義し、プログラマブルに扱うためのプログラミング言語です。
今回はMove言語について、その言語仕様や「モジュール」と「リソース」の概念、トランザクションの実行までの過程、などについて、主にEthereumと比較しての話がありました。
印象に残った部分としては
-
Move言語ではコードの安全性を担保するための設計が各所にみられる(線形論理に基づいた「消費」の概念や、モジュールでのリソースの定義、型付きbytecodeなど)
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Libraのアカウントの作成は、必ずモジュールで行われる。
-
理論上、GAS代の支払いをLibraコイン以外のリソースでも行うことが可能。
の三点でした。
また、Move言語では安全性を言語の設計である程度担保している一方で、Ethereumのスマートコントラクトよりも柔軟性のあるスクリプトを記述しやすいという点に驚きました。
Ethereumでは基本的にコントラクト上にデプロイされたスクリプトを呼び出すことしかできませんが、Libraではトランザクションの中にスクリプトを含めることができ、一つのトランザクションで複数のスクリプトを記述することも可能とのことでした。
感想としては、moduleを用いたアカウント作成やバランスの確認、Libraコインの取得などを、一度試した上で、どのようなカスタムmoduleが考えられるか、考察するのは楽しそうだと感じました。
また、設計思想としてはRustに似たものがあるとのことだったため、Rust言語の学習も進めていきたいと思いました。
LT
最後に、HAWインターナショナルの望月さんのLTがありました。
内容としては、Ethereumを用いた開発をやっていて、気づいたこと、というものでした。
スマートコントラクトで何を自動化するのか? という問いから、思考を深掘りしてEthereumでできることや、やるべきことへの考察をされていたのが印象的でした。
まとめ
今回イベントに参加して、テレビなどのメディアでよく目にするLibraを技術的な観点から再度見直すことができて、とても勉強になりました。
次は自分の手でMove言語を触りながら、更に深い部分への理解を深めていきたいと思います。
以上、『Libraを技術的視点からひも解く』イベントレポートでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。